旧GCR「代替」バスが2022年4月で廃止の衝撃

「axe」は「斧」という意味の単語ですが、鉄道やバスなどを「廃止する」という意味としても使われます。といっても事業者が公式アナウンスで使う単語というより、利用する側がネガティブな感情をこめて使うことが多いようです。日本語で似たニュアンスの単語を探すと「切り捨てる」「打ち切る」あたりでしょうか。

 1960年代のイギリス国鉄では、ビーチング総裁の主導で、当時の国鉄の4分の1の区間が廃止になり、「ビーチングの斧(Beeching Axe)」と呼ばれました。廃止された区間の中で特に有名なのは、旧GCR(Great Central Railway)のグレートセントラル本線です。

 で、つい最近(2022年3月)、オックスフォード県北部の地域FM局 BanburyFM のニュースコーナーに以下のような見出しの記事が掲載されました。

BanburyFMのサイトから

Stagecoach axe the 200 service

 つまり、Stagecoach社が200系統のバスを廃止するという内容です。 

Geoff Amos AM05 BET
Geoff Amosの黄色いバス。社名のすぐ下に「The Great Central ConneXion」と書いてある(flikrより)

 この200系統は、実は1960年代に廃止された旧GCRの区間を走るバスです。オックスフォード県のBanbury(GCRとGWRの結節点だった)と西ノーサンプトン県のDaventryを結んでいます。

 2011年までは、さらに先のRugbyまで伸びていて、当時の運行会社Geoff Amosはこの路線を「Great Central ConneXion」と銘打っていて、バスの 車体にも大書きされていました。

 Geoff Amosは、GCRの拠点駅のあったWoodford Halseにほど近いEydonという村に車庫がある地元企業でしたが、2011年に破産。

 その後、路線を引き継いだStagecoachは、それをDaventryで分割し、Banbury側が200系統になったというわけです。

「Great Central ConneXion」の売りは「毎時運行」でした。Stagecoachになってからも継続。平日も土曜も1時間に1本という、この地域の都市間路線バスとしては最高頻度を保ち、ここ数年の路線バス網縮退の波を乗り越えてきたのです。しかし、Stagecoachは2022年4月2日を最後に廃止すると発表しました。

 地域に走った衝撃は大きかったようです。Woodford Halseもいまや、この路線が村を走る唯一のバス。廃止後は、鉄道だけでなくバスもない村になってしまいます。同じような村も少なくなく、地域選出の国会議員も巻き込んだ廃止反対運動が起きています。

廃止反対運動を報じるDaventryExpress紙のサイトから

 Stagecoachの発表によると、200系統は自治体の補助のない路線で、ここ数年、支出に対する収入が85%以下だったとのこと。85%は、日本風に営業係数でいえば118円です。営業係数118円のバス路線がいきなり廃止になってしまうというところにイギリスのバス業界の厳しさがにじみます。

Stagecoach公式サイトに掲示された路線廃止のアナウンス

 この記事を書くにあたって、このサイトなどを参考にしました。

追記)廃止反対運動の成果なのか、西ノーサンプトン県は、オックスフォード県と共同でStagecoachに対する補助金を支出し、今年8月27日までは少なくとも路線は継続することになったようです。県会議員は地元紙の取材に対して、「この間に、県内のバス路線網の広範な再検討をおこなう」と語っています。

200系統の当面の存続を伝える地域紙「Banbury Guarian

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