ノーサンプトン県のWeedon Becという村に住む14歳の少年(Harry Burrさん)が、ノーサンプトン県での鉄道新線建設を訴える運動を起こして、地元紙で話題になっています。その運動の名は「Sustainable Transport Northamptonshire」。そのサイトがかっこよくて、ついつい見入ってしまいました。

URLは https://transport-northants.com/
ノーサンプトン県は、ロンドンから100キロ程度の場所ですが、鉄道の便はあまりよくありません。県内を南北に走る本線が3つありますが、特急(Fast Train)が止まる駅は、一番東側を通るミッドランド本線(Midland Main Line)のKetteringぐらいです。県は東西に広いのですが、東西を結ぶ鉄路はありません(下はNetwork Railの地図で、県の部分をピンク色で塗ってみたものです。実際の形とは異なります)。

真ん中の西海岸本線(West Coast Main Line)は、県都のノーサンプトンから少し西に離れたところを通過します。鉄道ジャーナリスト Chrsitian Wolmarの本によると、その線路が敷設された1830年代にはまだ鉄道に対する迷信があり、ノーサンプトンの町は当時、「煙で羊が汚れる」などと猛反対したそうです(イギリスにもそういう話があるんですね)。開通後にようやく鉄道の有用性に気づいて、誘致運動を起こして、町にも支線が開通。それが今は緩行線として使われていますが、本線(急行線)は今も町を通らぬままで、県内には駅がありません。
しかし、昔は駅があったのです。
この14歳の少年が住むWeedon Becという村には今も西海岸本線が通っていますが、ここにはその昔、「Weedon駅」がありました。

上の地図は、1839年のブラッドショー時刻表から。LONDON AND BIRMINGHAM RAILWAY の太い実線が現在の西海岸本線。ノーサンプトンを避けるように通り、Weedon Beck(ママ)には「Station」があります。時刻表をみると、当時のWeedonは拠点駅で、上下9往復あったロンドン・バーミンガム間の列車すべてが停車する駅でした。
しかし、彼が生まれる50年近く前にあたる1958年に駅は廃止。廃止直前の時刻表(下図)では、ローカル列車が朝昼晩の3本止まるだけという典型的な田舎駅でした。

彼はまず、ここに駅を再建する運動を始めました。
実は、何年か前の県の交通計画にも、新駅の候補地としていくつかの候補の1つとして名前があがったことがあり、まったく目がないわけではなさそうです。とはいえ、急行線なので特急(Fast train)以外走っていません。それを停めなくては利用できません。だいぶハードルは高そうです。
しかし、彼はさらに、その新駅を拠点に、東西に新しい鉄道路線を敷設する「South Northamptonshire Link」という計画案を立てました。

1950年代に廃止された路線を一部活用する案です。実はWeedonは当時、Leamington Spaへの支線の分岐駅だったのです。
自分が住む村の歴史を調べたら、実は昔は駅があって、さらに支線の分岐駅だった・・それを知った少年の驚きと、「どうして今はないのだろう?」と思う気持ちは、どちらも想像ができます。
とはいえ、実現の道は簡単ではなさそうです。バスですら、補助金削減で路線網が「網」ではなく「線」になっています。余談ですが、ノーザンプトン県(County Council)は、財政破綻の結果、2021年から2つの県(正確には県と郡が一体になったUnitary Authority)に分割されるそうです。
それでも、彼はなかなかの行動力の持ち主で、単にサイトを構想を載せるだけでなく、英国国会サイトのオンライン署名を実施したり、運輸省など関係各庁にメールを送ったり、と実際の関係各所に働きかける活動もおこなっている様子です。(私には何もできませんが)応援したい気持ちになりました。
